精力剤
そうそう、私のペニスだ。かなんの体を愛でつくす営みだけに気をとられていた私は、自分のペニスのことに触れるのをすっかり忘れてしまっていた。
つい先ほどまで私のペニスは、かなんの姿を前にしてさえ萎えきってしまっていたのでなかったか。それが今では、もはや完全すぎるまでの張りきりぶりを示している。あまりにも中の海綿体が大きく膨らみすぎて、それを覆っている皮膚には納まりきらないくらいにまで至っているらしい。今にも皮膚が張り裂けてしまうのではないかと思われるような、そんな鈍い痛みが股間に伝わってきつつあるほどなのだ。
かなんの体の上へ私がのしかかっていた時は、私のペニスも彼女の体へ押しつけられていた。その先端が彼女の下腹や太股に触れるたび、何とも言えない快感が股間へ広がったものだ。そのペニスが今では私の腹へ、ぴったりと張りついている。もはや少しくらい力をこめて押したり引っぱったりしただけでは、その向きを変えることすら簡単にはできそうもない。
よかった、と私は心の底から安堵の息をついた。かなんを抱いておきながらペニスが使いものにならなかったらいったいどうしようかと、つい先ほどまでの私はもう気が気でない心痛を味わっていたのだ。これだけ完璧な
精力剤の勃起ぶりを示してくれているならば、よもや役に立たない結果と終わることなどありえまい。これだけ大きく膨らんだペニスを膣に挿入すれば必ずや、その内壁を激しく刺激してみせることができるだろう。そして必ずや、かなんに快感を味わわせてみせることができるはずだろう。
いや、今はそんなことを考えているべき時ではない。そんなことについて考えるのは、後回しにしてしまってもかまうまい。私の目の前には他ならないかなんその人が体を横たえて、今にも訪れようとしているはずの大いなる歓喜の予感に身をふるわせている。今はそんなかなんとの営みに専念し、彼女を歓ばせることをだけ考えていればいいはずだ。
左右の乳房と乳首を舌で愛撫しつくした私は次に、かなんの脇の下へと自分の顔をうずめた。そして脇の下から腕の付け根へかけての皮膚を、自分の舌で舐めまわす。ほんのかすかに懐かしい匂いが感じられるのは、かなんの腋臭なのだろうか。だがそれは決して鼻についたり、あるいは不快だったりするような匂いではない。むしろ何だか幼い頃を思い出し、気持ちが休まるように感じられさえする心地好い香りだ。おそらくそれは、かなんの浮かべている汗がかもしだした匂いだったのだろう。そんな人肌のぬくもりが、懐かしくも感じられるような心地好さをかもしだしていたのだろう。
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